KOLおつまみ更新6

2017.04.26 18:49|小説・詩
こんばんは、七海です。最近「しちみです」と名乗ることが多かったので打ち間違えそうになります。
ブログ確認してみましたところ、ぴったり二十日ぶりの更新だそうです。サイト更新お知らせ記事じゃなくて、ごめんなさい。
KOLの続きがようやっと書けたので、読者の方はどうぞ。

今回からの試み。本編URLを張ってみる。
「King of Light」
http://ncode.syosetu.com/n3552bw/



 やがて、あちらこちらに散らばっていた人々が戻ってくる。その中に息子の姿を見いだした美雪の目が揺れるのを、ノエルは確かに見た。だが、あえて気づかなかったふりをして、「おかえりなさい」と彼らを迎え入れる。予想に反して光貴や晴香の顔は晴ればれとしており、そのことが少年を安堵させた。彼が視線を感じて顔を上げると、なぜか宮廷魔導師ににやりと笑いかけられる。彼は「さーて」と言って寝台に腰かけると、何やら包みを広げはじめた。結び目を解かれた布の内側から、ふわりと芳ばしい香りが漂ってくる。
「何それー」
「晩飯」
 楽しそうにのぞきこんだミーナへ、ラッセルは短く答えた。彼は広げきった布の上から何かをとりあげて、一人ひとりに渡してゆく。光貴たち兄妹が目をみはった。
「これ、お米!?」
「へえ、このあたりにも米があるんだな」
「陽国のやつとは種類が違うはずだけどな。それはそれでうまいぜ。……といってもトルキエの東の方でちょっと作られてるだけだから米は貴重でな。市場にもそんなに出回らないんだけど、屋台を見回ってたらたまたま売ってたから」
 ノエルはふむ、と呟いて、手もとのものを見おろす。米をかるくにぎって固めたものを焼いて、表面に焦げ目をつけたのだろう。そこにさらに、飴色のたれがぬってある。かじりついてみると――口の中で米粒がほぐれて、たれの味が広がって想像以上においしかった。生まれてこの方米を食したことのないノエルでも、すんなり受け入れられる味である。
 一同は、しばらく無言で米を堪能していた。が、ふいに、ラッセルが口を開く。
「美雪さん、さっきの話について確認したいことがあるんですが」
「ん? さっきの、って」
「『堕天使』」
 ラッセルがその名を口にした瞬間、部屋の空気が凍りついた。彼は構わず、飯の最後のひと欠片を口に放りこんで咀嚼すると、改めて話しなおす。
「美雪さんのおっしゃった、暗黒魔法を使う『天使』ですが、それはおそらく……」
「ああ、その話ね。うん、多分、あなたたちはもう会っている」
 光貴と晴香が顔をこわばらせた。きっと自分も似たような表情をしているだろうと、ノエルは思う。彼らの様子に気づいているのかいないのか、美雪はいつもの口調で語り続けた。
「レラジェ、か。いたね、そんな奴。いきなり狂ったように笑いだす変なの、くらいの印象しかなかったんだけど」
「ご存じなのですか!?」
 メリエルが身を乗り出すと、美雪は口もとについたたれを指でぬぐいながら、うん、とうなずいた。
「おそらく、今あちこちで暗躍している奴らは、私らが追い払ったはずの『堕天使』軍の残党ね。きっと、うまいこと逃げのびていたんでしょう。ただし」
 美雪の言葉がいったん途切れ、ややあって、息を吸う音が響いた。
「レラジェと一緒にいたもう一人の女の子については、たぶん、最近加わった子だわ。私の記憶にないのは当然のこと、『解放軍』の記録にも該当する人物はいなかったはず」
「……そう、なんだ」
 晴香が目を伏せた。彼女の唇は、音を紡がずに動く。彼女が、少女の名前を求めたことに気づいて、ノエルも顔を歪めた。思わず美雪を振り返る。彼女は、トルキエ流焼き飯を口いっぱいにほおばって、満足そうな顔をしていた。食べ盛りの少女のような表情は、けれど、飲みこんだ瞬間に消えた。
「シルヴィア、ね……」
「美雪様?」
 ノエルが名を呼ぶと、美雪は人さし指を唇に押しあてた。それから、何食わぬ顔で前を向く。
「どこかで聞いたことがある名前だけど、どこだったかな。王城?」
「え――」
「ノエル君、国に帰ったら調べてもらえないかな」
 すばやくささやかれた頼みごとに、ノエルは無言でうなずくことしかできない。問いただそうとはしたのだが、その前に、晴香とミーナから声をかけられてしまった。
――ジェラルド・ルチアーノの妻。今でこそ、一介の行商人を名乗っているが、かつては間違いなく王国の中枢にいた女性だ。彼女は今、この局面にあって、何を見つめているのだろう。
 ふくれあがる疑念を押し隠し、『預言者』の少年は少女たちにほほえんだ。
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進捗

2017.04.06 06:54|創作話
おはようございます、七海です。
広告を出してしまったのがショックだったので、創作活動の状況を綴っておこうと思います。

現在はカクヨムさんでの活動メイン。

『風語り』は第七話の終盤あたりまでストックがあります。カクヨムさんの方で今やっている長編が完結したら、ぼちぼち連載を再開します。
で、最近、漫画の方にまったく手がつけられていません。なんだか悲しい。
いつも週末に描こうと思って描けずに終わっています。こちらも、長編が終わったらまた描けるかな? と思います。
2017年、サイトの本格更新は五月からになりそうです。もうすぐ六周年だか七周年だかな気がするのですが、こんな体たらくでいいのかと思いつつ。焦らずやっていきます。

ご来訪と拍手、ありがとうございます。
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蒼井七海

Author:蒼井七海
なんか周りにオタクといわれてしまう社会人見習い。
少年漫画、ファンタジー、ネコが大好き。中学生の頃から息(だけ)長く創作サイトの運営やらなんやらしながら、漫画家を目指しています。
どうぞよろしく。

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