FC2ブログ

KOLおつまみ更新7

本家はこちら。
「King of Light」
http://ncode.syosetu.com/n3552bw/



「いろいろありましたが……当初の目的である『聖墓所』に行きませんか?」
 光貴たちが、ノエルからそのように誘われたのは、翌朝のことだった。喜んで誘いに乗ったピエトロ出身の三人は、ミーナとリリス、そしてメリエルには出かけてくるとだけ言い残して宿を出た。早朝の喧騒にまぎれるようにして町を抜け、北に向かって歩いてゆく。

「『聖墓所』ってどんなところかなー。ものすごく、神秘的な場所、って勝手に想像してるけど」
 静かな道を歩きながら晴香が呟く。その声は明るいが、表情には少し翳りが見えた。理由に思い当たった光貴はしかし、そのことには触れず相槌を打つ。
――『聖墓所』。歴代の『神聖王』が眠っている場所。つまりは、二人の父親ジェラルド・ルチアーノもそこにいる。死後五年も経ってから、父親の墓を知るというのは、なんともいえないむなしさがあった。光貴は出かかったため息をこらえ、同行者たちを振り返る。
「ラッセルやノエルは、『聖墓所』に行ったことがあるか?」
 少年と青年は顔を見合わせたあと、片方はうなずいて片方はかぶりを振った。
「俺はないぜ。だいたい、行きたいって言って連れていってもらえるような場所でもないし。今回は『預言者』殿の許しがあるから特別、って感じだな」
「へえ、宮廷魔導師でもだめなんだ」
 晴香が目を丸くして興味深そうに言った。そのかたわらで、ノエルが静かにうなずく。
「王墓と同じくらい国にとって重要な場所ですからね。――ちなみに僕は、一度だけ訪れたことがあります。なんというか、厳かな場所だと感じましたが、まあこの感じ方は人それぞれなので、実際に行ってみた方が早いでしょう」
 生真面目な少年の受け答えに、光貴は「それもそうだな」と軽く笑う。それからふと思い立って、目を瞬いた。
「そういえば、母さんは入れないんだろうか。声かければよかったかなあ」
「美雪さんなら、王の許可があれば入れると思いますけどね」
「それでも陛下の許可が必要なんだね……たいへん……」
 晴香ががっくりと肩を落とす。光貴は苦笑したが、彼女の気持ちもわかる。国に許可を求めないと肉親の墓参りすら満足にできない、というのは実にわずらわしい。それだけでなく、少し、さびしい気もした。
スポンサーサイト



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する