KOLおつまみ更新14

2017.09.27 23:15|小説・詩
こんばんは、七海です。
えっらい時間になってもーた。

九月が終わりますね。早い怖い。
そろそろぼちぼち、重い腰を上げて仕事を探しはじめようかと思っています。それと同時に、今まで私があちこちに蒔いてきた作品たちをどう収拾していこうかと悩んでいます。

そんなわけでとりあえずKOL。
最近、ブログが日記というひとつの役割を放棄しつつあるのですがすみません。
ご来訪ありがとうございます。

本編はこちら。
http://ncode.syosetu.com/n3552bw/




「うううううん」
 低い、低いうなり声。その後に、寝台がばったばったと音を立てた。子どもの行為、と無視していた貴族令嬢が、とうとう青筋を立てる。
「ミーナ。お行儀が悪いです。つつしみなさいませ」
 私はともかく、リリスもいるのよ。メリエル・ラグフォードがそう続ければ、ミーナ・コラソンは、うつ伏せで枕を抱いたまま、ばたつかせていた足を止めた。それから、がばりと起きあがる。そして、やはりまた、枕を抱きしめた。
「だ、だって! 落ちつかない! 晴香たちも美雪も、遅くない!?」
「確かに、遅いですね」
 時計を見ながら呟いたのは、リリスだ。ミーナは顔をぱあっと輝かせて、「でしょうっ!?」と言う。メリエルが、重いため息をついた。
「ああもう。ねえ、追いかければよかったかなあ」
 この少女は、友達が心配でしかたがないのだ。わかっていても、年上の二人は、彼女を思う通りにしてやることはできない。リリスは苦笑して眉を下げ、メリエルはいつものつんと澄ました表情で、彼女の方へ身を乗り出した。
「『あのお二人』が、何も言わずに出ていかれたのです。美雪様も、思い当たる節がおありのようでしたが、詳細は説明なさらなかった。それはつまり、私たちに伝えてはならない場所へ行く、ということなのでしょう。むりに尾行などするものではありませんわ。最悪、国どうしの問題に発展してしまいます」
『あの二人』とはもちろん、ラッセルとノエルだ。ミーナもまた、ピエトロ宮廷勤めの二人に思い当ったのだろう。うっ、と声を詰まらせる。
「そう、だよね」
 細い指が、枕をきゅっと抱きしめた。金色の瞳が、理解と疑念のはざまで揺れる。メリエルは、それまで厳しくしていた目もとを緩め、年下の守護天使に、そっと語りかけた。
「大丈夫。彼らを信じましょう」
 ミーナはしばらく唇をかんでいた。それから、ゆっくりうなずいた。
 メリエルが息を吐く。そしてリリスはほほ笑んで――おもむろに、寝台から下りた。音で気づいた『慈悲姫』が、たおやかに振り返る。
「どうなさいましたの?」
「ちょっと、お散歩に出てこようかと思って。待つしかないなら、できることで、気をまぎらわせたいでしょう」
 リリスは、ふんわりほほ笑んで言う。二人の守護天使は、いったん顔を見合わせた。けれどすぐに「それもそうね」「行ってらっしゃい」と、それぞれの言葉を投げかけた。

 光貴たちが出ていったのは、朝方だった。が、今はもう陽がだいぶのぼっている。人々の動きもさかんになっていて、雑多な宿場町ならではの、独特な音と芳香が、漂ってきている。威勢のいい呼びこみの声に耳を傾けつつ、リリスは青空を見上げた。
 光貴も、晴香も、ラッセルも、ノエルも。誰も、何も言わなかった。ふだんではあり得ないことだと、彼らを知る者は言った。だからこそ、リリスには、彼らの行き先がわかっていた。
「……『聖墓所』」
 いつかのように、繰り返す。誰にも聞かれぬ呟きは、ひそやかな夜の闇に似て。そしてそれは、リリス自身を表すものだ。
「始まってしまった。継承だけでなく、すべてが」
――それを知る者は、少なくともこの町にはいない。先代『神聖王』の妻であったという女性も、光には気づいても影には気づかない。
 だが、彼女はもともと影にいた人間だ。嗅ぎつけるのも、時間の問題だろう。それはそれで、構わない。それよりも、リリスは次代の『神聖王』が気がかりでならなかった。
『継承の儀』だけは、いくら彼女でも干渉できない。あれは、定められた『天使』だけの時間だ。始まってしまったからには、成否は継承者にかかっている。
 リリスは静かに瞼を閉じる。強くまぶしく、どこか儚い少年の後ろ姿が、浮かんだ。
「光貴様」
 呼ぶ声は、蜜のように甘い。その意味を、当人が知るのはまだ先だ。
 だから今は、ただ、見えない彼に、祈りを捧ぐ。
「――どうか、打ち勝ってください」
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Author:蒼井七海
なんか周りにオタクといわれてしまう社会人見習い。
少年漫画、ファンタジー、ネコが大好き。中学生の頃から息(だけ)長く創作サイトの運営やらなんやらしながら、漫画家を目指しています。
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