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KOLおつまみ更新16

2017.10.28 17:50|小説・詩
こんにちは、七海です。

本日もKOLです。珍しく筆が乗った! わあい! と、一人で喜んでいるところです。

本編はこちら。
http://ncode.syosetu.com/n3552bw/

ご来訪、ありがとうございます。




――ああ、死ぬのか。
 光貴は、漠然とした予感を抱いてうずくまった。痛くて、寒くて、怖くて。なのに、口もとは笑んでいた。
 死ぬのか、と。以前にも、考えたことがある。『神聖王』として目ざめる直前、息が止まるほどの苦しさの中で。そういえば、あの直後に見たものも、今感じているものと似ている。そう思ったとき、忘れかけていた映像の奔流が、また頭を満たした。
 頭痛が激しい。こらえようと、体を折る。抵抗ひとつできなくなった少年を、獣はじいっと見下ろしている。いつでも仕留めることができるはずなのに。だが、光貴はその違和に気づかない。冷静にあたりを見回すだけの余裕は、残っていなかった。
 映像は続く。満たし、締めつけ、流れてゆく。光貴が叫びだしそうになったとき、けれど、その流れがふいにゆるんだ。きつく、きつく目を閉じた。まなうらに浮かんだのは、やはり知らない風景だ。なのにどこか懐かしい。ひと組の男女が、向かいあって、何かを見下ろし、ほほ笑んでいる。今まで見てきたものは、おそらくは『天使』の力やその目覚めに、この空間に関するものだった。だが、今見ているものは、どれでもない。光貴は、ずきずきと痛む頭の片隅で、はじめて、どうしてだろうと思った。
『本当に、いいの? 星語の名前なんかつけちゃって。ピエトロでは浮きまくりだよ、絶対』
 やわらかい、女性の声。それを彼は知っている。しかし、知っているそれよりも、響いた音はいくらか若く、幼かった。男性の声が、言葉にかぶせるようにして、笑う。
『いいって。せっかく俺たちの子どもなんだ。ちっと目立つくらいがちょうどいい。それにな、俺は、おまえの名前とおまえの国の言葉が好きなんだ』
『……そこまで言うなら、考えた名前、つけちゃうよ。いいんだね』
 低められた女性の声を、男性はやわらかく受けとめる。
『ぜひに。参考にさせてくれ。そんで、次の子ができたときは、俺に名づけさせろ』
『気がはやーい』
 弾むように笑った女性が、打って変わって、下を見る。細い腕(かいな)に抱かれるのは、小さな命。
 その風景を、天からのぞくように、見ていた少年は。みずからの心臓が、ひとつ、鳴ったのに気がついた。
 あそこにいるのは。
 二人が見ているのは。
『――光貴。光に貴い、で、光貴。いかがかね、“神聖王”殿』
『おまえ、狙ったな』
『当然』
 この、二人は。
『うん。こいつにぴったりだ。光貴、ようこそ、我が家へ』

「かあさん……とう、さん」


 おさまらない痛みの下で、けれど優しい風景は流れてゆく。その中で、子どもは少しずつ、確実に成長していく。そして――彼自身もおぼろげながら覚えている、あの日へと行きついた。
 母の腕に抱かれる子を見て。自分もこんなふうに生まれてきたんだと、ぼんやりと自覚した。隣に立つ、背の高い父親は、見るからに安堵の表情を浮かべていて。母と二人目の子をいたわったあと、小さな自分を手招いた。
『この子の名前、俺と光貴で考えたんだぞー。なあ、光貴?』
『うん!』
『あれ、本当? じゃあ、さっそく発表してもらおうかな。今まで秘密にされてたから、楽しみだなー』
 父と息子は悪戯っぽく笑いあい――息子の方にそのつもりはなかったが――声を合わせて言ったのだ。
 
 晴香、と。
 晴れの香りで晴香。それがこの子の名前だと。
 
 記憶の中の母の姿はおぼろげだ。けれど、笑っていたのだと思う。事実、見える風景の中で、彼女はほほ笑んでいた。そして、腕の中で眠っていた晴香が、へにゃりと妙な顔をしたことだけは、鮮やかに覚えていた。
『よろしくね、晴香』
『光貴ー。おまえ、今日からお兄ちゃんだぞ。一緒にがんばろうな』
 父に頭をなでられて。母に「いよ、おにいちゃん!」とはやし立てられて。小さな彼は、無邪気に笑った。

『うん。ぼく、おにいたん! おにいたん、がんばる!』

 まだこのときは、「お兄ちゃん」がきちんと言えなかったのだろう。自分の言葉で久方ぶりに笑った彼は、その拍子、妹の後ろ姿を思いだした。
「――晴香」
 白い闇の中に、やさしい色の光を見た気がした。
 彼女は、どうしているだろうか。また自分がいなくなって、うろたえているのでは、ないだろうか。
 晴香だけではない。あの場には、『聖墓所』には、ノエルやラッセルも残してきている。彼らが突然消えた光貴を放っておくわけもない。どうしているだろう。ラッセルは、彼は特に、自分を連れだしたことに責任を感じていたのに。今また、よけいな心配をかけて。
 力なく落ちていた腕が、跳ねる。指が動いて、こぶしをつくる。全身に熱が、よみがえる。内側が脈打ち、血が巡る。
「……ふ、ざけんな……。死ぬ、には……早すぎる、だろ」
 あたたかい風景を振りきって、強引に体を返す。目を開くと、変わらず果てのない白に焼かれた。それでも光貴はひるまなかった。両手をついて、体を起こす。獣の尾が、ばねのように跳ねた。それが動きだすより早く、光貴はむりやり立ちあがる。ずらすように足を動かし、落ちていた剣に近づくと、すばやく拾い上げた。たどたどしく剣を構えて、獣を正面からにらめつける。
「悪いな。俺は、おまえには食われてやらない。食われるわけにはいかないんだ」
 ひねり出した声は、かすれていた。膝は笑って、息は荒い。
 不格好だ。でも、それでいい。
 格好悪かろうが、自分の意志で歩いてきたのだ。これからも、そうしてゆく。もう、迷いはなかった。
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突然の訪問、失礼いたします。
私はこちら⇒https://goo.gl/J4i7FY
でブログをやっているさくらといいます。
色々なブログをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はコメントを返してくだされば、
私もリンクさせていただきます。
よろしくお願いします^^

Re: No title

コメントありがとうございます。
また、相互リンクのお誘いもありがとうございます。これからリンクを貼りますね。
私生活多忙のため、更新頻度の低いブログですが、その分、一記事にひとつはおもしろい要素を入れようと頑張っていますので、よろしくお願いします。

蒼井七海

> 突然の訪問、失礼いたします。
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蒼井七海

Author:蒼井七海
なんか周りにオタクといわれてしまう社会人見習い。
少年漫画、ファンタジー、見ているだけなら小動物が好き。中学生の頃から息(だけ)長く創作サイトの運営やらなんやらしながら、漫画家を目指しています。
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